歌について

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Work In Progress の歌を唄うことは、未知への飛躍だった。 長年、発明・制作して弾き続けた楽器達を伴奏に、言葉を録音する日がついにやって来たのだ。

2009/10/18 – Dynasties Fall
2009/12/09 – I’m a Little Worried
2010/03/22 – Dark Clouds
2010/11/28Hand in Hand

夢心地だった。 音楽は頂きを目指す。 かつて誰も聞いたことがないような魔法の音を、私達は録音していた。

インドを去った後の暮らしが、やっと見え始めた頃。 ロッキー山脈南部での登山が体力を取り戻してくれた。 日本語から英語へのビジネス翻訳が生活を支えていた。

けれども山あれば谷あり。 何より心を痛めたのは、生い立ちを共にした人々、私達同様に良い学校へ進んだ古い友達と、波長が合わなくなったこと。 彼らの言葉と行いの違いは、もはや無視できなかった。 こんな人達を一体どうして尊敬できたのだろう? 何不自由なく育ち、危ない橋は決して渡らず、有意義なことは何もせず生きて来た人達。 すっかり幻滅して、私達は彼らを “the birthies”(生まれた時の階級の人々)と呼ぶようになった。

向こうも私達が気に喰わなかった。 一人また一人、金欠だからと私達を嫌って離れて行った。 贅沢に暮らしながら不幸せな彼らは、お金をかけずに優雅に暮らせる私達が疎ましく、自分なりのやり方が実を結んでいるのを不気味に思った。 そして私達をただの負け犬、哀れむ相手と思えなくなると、次善の策は私達が存在しないふりをすることだった。 メールを送っても返事が来ない、電話しても向こうからはかけて来ない...

言うまでもなく、私達は傷つき怒りに燃えた。 そこで歌とブログ記事で、礼儀正しく思慮分別のある人には禁断の領域へと、足を踏み込んだ。

手厳しい言葉が birthies の気に入らなくても、どうせもう失った友人、一向に構わなかった。 苦痛の衣はまとっていても、言葉が真実を語ることの方が大切だった。

だからこそ、歌と歌に伴う記事は、時を経ても重みを失わない。 だから、歌詞の底に流れる思いを、この「歌について」ページで語ることにした。

中には、今ならこうは言わないだろうと思うものもある。 かつて私達をひどく悩ませた人々も、最近では憐れみがふさわしい気がする。 少し落ち着いた怒りは、私達を侮辱した個人個人に対してよりも、むしろ人類が造り上げた仕組みの余りの拙さに向けられている。

それでも、あの頃私達がしたやり方で歌い、書く度胸があったことを誇りに思う。 洞察を生のまま、新鮮な内に、面と向かって記したことを。

タオス山の麓、星明りに煌めく夜。 自分が誰であり、誰でないのかを見つめながら。

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